いつもの見知らぬ男たち

1958年/イタリア/モノクロ/102分
原題:I soliti ignoti
監督:マリオ・モニチェッリ

【出演するちょいワルおやじ】
ヴィットリオ・ガスマン、トト、マルチェッロ・マストロヤンニ


うだつの上がらない小悪党たちが、質屋業を行う国営機関モンテ・ディ・ピエタに忍び込み、金庫の中身を盗みだす計画を立てる。金庫のある部屋の隣がちょうど空き家なので、その壁を壊して侵入するはずだったのだが、そこに新しい住人が入ることになり……。

犯罪を遂行しようとする仲間たちの顔ぶれはヴィットリオ・ガスマンマルチェッロ・マストロヤンニ、さらには金庫破りの師匠役にナポリの喜劇俳優トトなど、錚々たる俳優陣が出演するイタリア犯罪コメディーの最高傑作。音楽はイタリア映画界の巨匠ピエロ・ウミリアーニ。演奏には世界的トランペッターのチェット・ベイカーも参加している。

交通整理のおまわりさん

1960年/イタリア/モノクロ/100分
原題:Il vigile
監督:ルイージ・ザンパ 

【出演するちょいワルおやじ】
アルベルト・ソルディ、ヴィットリオ・デ・シーカ 


近所でバカにされている無職のオテッロは、持ち前の強引さで交通警官の職に就く。無免許運転をしていたスター女優シルヴァ・コシナを見逃し、市長から大目玉を食らったオテッロ。「法律は誰にも平等」と叱られたオテッロは、それならばと、今度は運転中の市長をスピード違反で捕まえる。逃げる市長をバイクで追いかけていったその先は、市長の愛人の邸宅だった……。

国民的俳優アルベルト・ソルディ主演のコメディー。『自転車泥棒』などで知られる監督ヴィットリオ・デ・シーカの俳優としての顔にも注目したい。音楽はこちらもピエロ・ウミリアーニが担当。日本初公開。 

あんなに愛しあったのに

1974年/イタリア/モノクロ・カラー/123分
原題:C'eravamo tanto amati
監督:エットレ・スコーラ

【出演するちょいワルおやじ】
ニノ・マンフレーディ、ヴィットリオ・ガスマン、アルド・ファブリツィ


第二次世界大戦中、パルチザンとして解放運動に参加していた3人の仲間アントニオ、ジャンニ、ニコラは、戦後それぞれ別の道に進む。病院で働くアントニオは、恋人のルチャーナを弁護士のジャンニに奪われる。ところが、ジャンニは出世するうちにルチャーナを捨ててしまう。すると彼女は、今度は高校教師になったニコラと関係を持つのだが……。

戦後イタリア現代史を、4人の恋愛模様を軸に俯瞰する青春映画。こちらもアントニオ役のニノ・マンフレーディ、ジャンニ役のヴィットリオ・ガスマンなど、名優たちがそろい踏みだ。音楽は『黄金の七人』で名高いアルマンド・トロヴァヨーリ。

スプレンドール

1989年/イタリア、フランス/モノクロ・カラー/115分
原題:Splendor
監督:エットレ・スコーラ 

【出演するちょいワルおやじ】
マルチェッロ・マストロヤンニ、マッシモ・トロイージ 


田舎町の映画館スプレンドール。大にぎわいだったこの映画館も、テレビの普及で客足が遠のき、館長のジョルダンは閉館を決意する。閉館作業中のスプレンドールで、彼は回想し始める。彼と恋に落ち、スプレンドールで受付嬢をしていたフランス人のシャンタル、彼女目当てで映画館に通いつめて映写技師になったルイージ。3人で映画館を再興しようと奮闘した日々……。

配信が増えて映画というメディアが転換期を迎える今だからこそ見てほしい名作。『8 1/2』や『ひまわり』で名を馳せたマルチェッロ・マストロヤンニと、『イル・ポスティーノ』のマッシモ・トロイージが共演。音楽はアルマンド・トロヴァヨーリ。 

学校

 

1995年/イタリア、フランス/カラー/100分
原題:La scuola
監督:ダニエレ・ルケッティ 

【出演するちょいワルおやじ】
シルヴィオ・オルランド、ファブリツィオ・ベンティヴォリオ 


ローマ郊外のとある高校では、教師も生徒もわがままばかり。一筋縄ではいかない生徒たちにも優しく接するお人好しの歴史教師ヴィヴァルディは、彼らを進級させようと悪戦苦闘するが、生徒から嫌われている地理担当のスペローネとしばしば対立することも……。

主人公のヴィヴァルディを演じるのは、後にヴェネツィア国際映画祭で男優賞を獲得するシルヴィオ・オルランド。スペローネ役がファブリツィオ・ベンティヴォリオ。現在トップクラスの俳優に上り詰めた2人の若き日の演技に注目だ。原作は日本でも人気の作家ドメニコ・スタルノーネの教師時代をつづった小説『教壇から』。日本初公開。 

サンタ・マラドーナ

2001年/イタリア/カラー/91分
原題:Santa Maradona
監督:マルコ・ポンティ
 
【出演するちょいワルおやじ】
ステファノ・アッコルシ、リベロ・デ・リエンツォ


トリノで同じアパートに住むアンドレアとバルトは27歳。映画と小説とサッカーが好きなインテリだが、大学卒業後、就職できないまま無為な日々を過ごしている。そんななかアンドレアは就職の面接に向かう途中で出会ったドロレスに一目ぼれする。偶然にも再会を果たした2人は……。

イタリアの経済が停滞し、多くの若者が就職難を余儀なくされた2000年代。その諦念の空気をたっぷり反映したシニカルな青春コメディーだ。主演はステファノ・アッコルシと2021年に急逝したリベロ・デ・リエンツォ。タイトルの『サンタ・マラドーナ』は、フランスのオルタナティブ・ロックバンドのマーノ・ネグラのサッカーを題材にした楽曲から。